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写真集を電子出版しよう
講師5名によるリレーセミナー


6月22日/13:30〜16:20
TFTビル906

受講料(税込) 5,000円






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設楽悠介
㈱幻冬舎デジタルコンテンツ室 室長



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小池博史
㈱ノングリッド 代表取締役



























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岡田 敦
フォトグラファー


































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五條伴好
フォトグラファー

































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山岸 伸
フォトグラファー



販売総合ベスト10の実力!

写真集を電子出版するためには、どんな準備が必要でしょうか。
そもそも写真集を出版するための方法として、どのような選択肢があるか。出版社の企画か、自費出版か、それとも、たとえば制作費など作家が費用の一部を負担するパターンか。制作においてはどのデバイスに向けたものになるのか。解像度やアスペクト比、またさまざまな電子書籍のファイルフォーマット、見せる要素としてのギミック(仕掛け)、そのためのプログラミングとコストは、どのようなものか。そして、作ったあとの販売は、どうなるか。電子書籍を世に送り出すまでのプロセスはいま、効率のよいフローへの過渡期にあると言ってよいでしょう。
そうしたなか幻冬舎では、昨年12月にiPad向けアプリ『深海のとっても変わった生きもの』を発売。ダヴィンチ誌の書籍アワードでノミネートされ、またApp Storeでの販売総合ベスト10にも入った人気アプリです。いわゆる写真集ではなく、図鑑アプリで、同社は勝負に出ました。もともと同書は紙版として2009年に発売していましたが、図鑑にありがちな剥製写真ではなくすべて生きている本物が使われていた点や、その写真がたいへんキレイな点などに鑑み、電子版制作に踏み切りました。コストとユーザビリティの問題などありましたが、どうせ作るなら楽しくて面白いほうがいい。そう考えた設楽氏は、ノングリッド小池氏と 「単純に深海の生きものを電子版として見せるだけでは面白くない」という視点で、2つの構造を持つ作りとしました。
ひとつめは、電子書籍としてじっくり楽しめる、書籍データを基本に構成されたページ。図鑑としての基本的な機能はしっかりと入れ込みました。ふたつめは、遊びの要素をふんだんに盛り込んだページ「SHINKAI EXPLORER」です。同書で紹介されている深海の生きものを、それが実際に撮影された水深まで潜って見つける、というコンセプトです。2本の指でピンチアウトすると、深度が増していく仕掛けで、画面も潜れば潜るほど暗くなって行きます。生きものを見つけたとき情報をタップすると、図鑑ページに飛んで、本文を読むこともできます。概念として奥行きを持たせるインタラクティブな方法論は、電子版ならではと言えます。このギミックは、紙版の図鑑に撮影した深度データが一覧で添付されていたことがヒントになり、生まれました。
制作を担当したノングリッドは、ウェブやインスタレーション、イベント企画など、クリエイティブに強みを持つ企業で、設楽氏は「電子書籍制作を専門とする制作会社よりも、さまざまなアイデアやクリエイティビティを期待できる点がよかった」と話しています。そしていま、両社は、写真家の新たな作品を企画中で、セミナー当日、その全貌を紹介します。電子写真集を出したい、自費出版したいと考える人々にぜひ聞いてほしいプログラムです。



国境を越えて写真集が出版できる

世界でiPad向け電子写真集をもっとも早くリリースした写真家の一人が登場します!
2002年に富士フォトサロン新人賞、2008年に第33回木村伊兵衛写真賞を受賞、近作としては、昨年劇場公開された村上春樹原作の映画『ノルウェイの森』公式ガイドブック(講談社刊)の写真を撮り下ろした岡田敦氏。岡田氏は、最新作写真集『ataraxia』(アタラクシア/青幻舎刊)で、紙版のほかiPhoneおよびiPadに向けた電子版をリリース。iPhone版は昨年4月6日、iPad版は同4月30日にそれぞれ発売されました。iPad版については、本体がアメリカで先行発売された時期に合わせ、日本でのiPad発売前にリリースされました。
開発・デザインはインターネット情報サービスを提供するエキサイト株式会社(ポータルサイト→www.excite.co.jp)で、エキサイトのコンテンツ「photo theater」のシリーズとして販売されています。なお「photo theater」は、iPhoneを通じて日本のクリエイターの作品を世界中に届けたいとする想いから、音楽家・守時タツミ氏の企画・プロデュースにより生まれました。
iPhone版およびiPad版は、基本的に同じ作りになっており、閲覧方法は主に2つのモードから選択します。1つ目は、厳選した30カットのスライドショー。2つ目は60カットのなかからランダムに30カットが選択されるバージョンで、毎回異なった雰囲気の鑑賞が可能となっています。どちらの閲覧方法にも、守時タツミ氏の音楽がBGMとして流れます。
両版の違いは、解像度です。一般的に、iPhone、iPad両方に対応しているコンテンツは、iPadでは拡大して表示しているに過ぎないといったケースが多く、画質にこだわりたい場合、物足りなさを感じてしまいます。また、iPhoneおよびiPadではアスペクト比が異なるため、黒い帯が出てしまうことがあります。そうした技術的なハードルをクリアするため岡田氏は、iPad版を作る際、新たにデータを用意しました。
岡田氏は、国内だけでなく世界へ向けた作品発表の手段のひとつとして、電子版のオファーを受けました。実際に、販売数の約半分が海外でダウンロードされているといいます。それを踏まえ岡田氏は、電子写真集をつくりたいと考える人々へ、「写真には言葉の壁がない。したがって電子写真集は、自分の作品を世界へ向けて発信できる新しいツールとして、今後確立されていくだろう。ぜひ、やってみてはいかがですか」と語っています。



iPadで写真集配信メリットとデメリット

広告写真スタジオを経て、1987年に五條写真事務所を設立した五條伴好氏は、以降、さまざまな雑誌や広告写真の撮影を手がけ、iPad専用デジタルカーマガジン「Bagnole」(株式会社NRMパブリッシング発行)の撮影にも関わっています。
1990年より写真作家として世界各国の「道」を生涯のテーマとして撮り続け、昨年10月にiPad向け写真集「日本の道/Japan's Most Beautiful Roads」がApp Storeで発売されました。日本のみならず、北米やヨーロッパなど海外でも注目を集めています。同アプリは、風景のなかで重要な役割を果たす道の撮影をライフワークとする五條氏が、自動車やバイク、ときに自分の足で日本中の道路を走り回って撮影した26ヶ所・83点の作品が掲載されています。
観光名所のパンフレットのように、単に美しい景色が並んでいるのではなく、その道、その季節、その時間帯でしか味わえない雄大さ、繊細さ、厳しさなどを切り取っています。各撮影エリアは、GoogleMapsに連動しているため、iPadを手にしてすぐにでも目指すことができます。
今後も電子写真集の発行に意欲的な五條氏ですが、曰く「電子写真集にはメリットもあればデメリットもある」と分析します。
まずメリットは「世界に向けて配信できること。また、紙と違って廃刊がなく、いつまでも残せる」。逆にデメリットとしては「街の書店に売られているものではないため、人々の目につきにくい。買っていただくためには、自らウェブやチラシなどを作って宣伝する必要もある」と指摘します。発売した電子写真集をホームページにリンクを張ったり、ツイッターでつぶやくといったPR手段はもとより、チラシやポストカード、名刺など「紙」を使った宣伝方法も、まだ過渡期にある電子写真集のアピールには有効なようです。
以前、本誌の取材で、五條氏は「iPadで文字を読むのは、人によって目が疲れたり、本の方が良いという意見もあるかもしれませんが、写真はキレイな画面で鑑賞でき、スライドショーやフォトフレームとして楽しめるなど、ユーザーに受け入れられやすい要素があると思います」と語っていました。「電子写真集は果たして消費者に支持されるのか」と懐疑的に考える人もいますが、決して可能性がない、とは言い切れないでしょう。
体験談から得られた、電子写真集の魅力と課題をたっぷりと語ります。



誰もが電子出版できる時代のプロとは

数々の俳優、アイドル、タレントのポートレート撮影を行い、広告やグラビア、写真集など多方面で活躍している写真家・山岸伸氏。撮影した写真集は400冊を超えます。
写真・カメラ関連イベントでの講演、トークショーには、毎回多くのファンが集まります。その活動エリアは日本にとどまらず海外にも広がっています。
写真集の電子化には5年ほど前から関わり、携帯電話での写真集配信は市場で大きな話題を呼びました。誰よりも早く電子写真集に関わったからこそ、「制作にあたって留意するべきポイントがたくさんある」と山岸氏は指摘します。
写真集を電子なり紙なりで作るにあたっては、その大前提として素材(写真)が必要です。大切な素材は、プロとしてしっかりと管理することが求められます。とくに今回の大震災では、建物の倒壊により写真も多くが失われました。ハードディスクに入ったままの写真は、損壊により引き出せないものもあるでしょう。そこで重要となるのが多重バックアップです。
これまでに、たくさんの写真を撮ってきた山岸氏は、バックアップの重要性を強く認識しています。どうやって電子写真集を作ればいいかを考える前に、自身の作品をいかに守るか、セミナーでは、まずその管理体制について、あらためて見直していきます。
デジタル化により、カメラの技術はますます進化し、アマチュアとプロの垣根がなくなりつつある現在、プロの世界はより厳しいものになってきました。写真家として生活が成り立っている人は、全体的に見ると少ないのです。電子写真集は、電子出版時代のなかで、これからますます脚光を浴びる可能性もありますが、現状では大きな売上げには至っていません。かつ、プロに限らず、アマチュアだって良いものを作ろうと思えば作れてしまう世界なのです。だからこそプロが関わる以上は、プロならではの「質」にこだわり、買い手にとって魅力あふれる内容にしなければなりません。
とはいえ、それを実行に移すのは容易なことではありません。電子の場合は紙媒体と違って、モニターやディスプレイの解像度に左右されてしまうなど、品質面でのアマチュアとの差別化が図りにくい面があります。デジタルの世界は、便利な点がたくさんある反面、粗製濫造、薄利多売が浮き彫りになりやすい性質を持っています。従って、いま写真の世界は、プロとアマチュアが乱立した状態となっているのです。
プロとして、より良いものを作り、買い手に満足してもらうためには、単に作るだけではいけません。例えば同じ写真・映像でも、誰もが所有するモバイル端末ではなく、超高精細の液晶モニターで、素晴らしい音楽とともに鑑賞すれば、大きな感動が得られるでしょう。こうした何らかの創意工夫が求められます。
電子写真集に関わった山岸氏だからこそ、写真ビジネスが一層厳しくなっているなかで、プロとしてどんな心構えで仕事に向き合う必要があるのか。電子写真集に関心のある方は、本格的な制作を前に、このセミナーを通じて、いま一度、プロとしての仕事を見つめ直してみてください。