
石川芳伸
ポパイカメラ

石田直之
R
① 写真店をイメチェンした雑貨スタイル
1936年3月の創業以来、東京・自由が丘で写真専門店として営業してきたポパイカメラ。プロラボに3年ほど勤めていた石川芳伸専務が同店を切り盛りするようになったのは2001年のこと。その頃の同店は、リバーサルフィルムを愛用する年配客が中心で、若い人や女性層がたくさん来るお店ではなかったそうです。
こうした顧客層を変えていくために、デジカメプリント対応のほか、店舗のショーケースも、以前はカメラがズラリと並んでいましたが、オシャレなアルバムやフレームなどの商品を陳列するスタイルへと変えました。お客さまのご意見も聞きながら品揃えを充実させたことで、お客さまの間では「ポパイに行けばいろんなアルバムやフレームが見つかる」という認識が広まりました。
「私の一般的な写真店のイメージは、商品を大量に陳列して、大特価やセールを謳ったお店づくりをしている、というものでした。私はそうしたお店づくりよりも、商品一つひとつの使い方や楽しみ方がイメージできるようなものにしたいと考えました」。例えばアルバムは、実際に写真を差し込んだ状態で、机の上に広げてディスプレイ、フレームも写真に限らずポストカードを入れて飾るなど、生活環境に溶け込んだ具体的な見せ方や提案を徹底追及。こうした取り組みが功を奏し、若年層や主婦など、これまでは顧客比率の少なかった層の来店率が増加しました。ところが、ひとつ問題が生じました。これまでのリバーサル客がデジタル一眼レフに切り替えたことで、プリント売上が減少してきました。こうしたケースは同店に限らず、他の写真店も直面した事態です。しかし、ここで同店が考えたのは、「プリントの売上ダウンをいかにカバーするか」ではなく、「プリントをさらに伸ばしていくにはどうしたらいいか」ということでした。同店が雑貨アイテムを本格的に取り扱い始めたのはこの頃からです。
「いろんな雑貨メーカーに問い合わせしました。当初は、写真店での納品実績がなかったため、なかなか取り合ってくれないケースもありましたが、根強く交渉し、さまざまなアイテムを取り揃えることができました」。フレーム関連だけでも3,000点以上に上るなど、写真店としては他に例を見ない雑貨アイテムを大量に取り扱い、雑貨メーカーからすれば、ポパイカメラは彼らのショールームのような状態となり、宣伝効果をももたらしました。
いまでこそ、雑貨を取り扱う写真店は増えてきましたが、最初に写真店のアイテムとして確立させたのはポパイカメラでした。デジタル全盛の時代、多くの写真店がプリントの伸び悩みに苦しむなか、いまもなおポパイカメラがフィルムもデジタルも両方ともコンスタントにプリントを集めているのは何故でしょうか。これまでセミナー講演を控えていた同店が、写真雑貨を通じてのプリントビジネス展開と、これからの挑戦について、たっぷりと語ります。
② スタジオと雑貨ショップの相乗効果
2006年8月、兵庫県姫路市にフォトスタジオ「ism」をオープンさせた石田直之氏が、本格雑貨ショップ「R」を立ち上げたのは一昨年7月のこと。「日々の暮らしを写真で豊かに・・・」をコンセプトに、フレームやアルバムなどの写真雑貨やインテリア小物などを豊富に取り揃えています。
「R」のテーマは「フランスの路地裏にありそうな雑貨屋さん」。築70年の家を改装した空間には、石田氏がフランスで買い付けたアンティーク雑貨もあります。
同店をismの隣にオープンさせた一番の目的は、「雑貨販売を通じてismを知ってもらうための窓口になること」だそうです。石田氏は、以前から写真以外の切り口で新しい店舗を出したいと考えていました。そんななか、ismの隣にあったお店が店じまいをすることに。話が本格化し、興味のある雑貨や洋服販売を写真につなげることに決めました。
オープン以来、集客にあたっては、ismとRがつながっていることから、それぞれの顧客が行き来しやすいような雰囲気づくりに注力。ブログなどでの告知も力を入れています。現在では、20〜50代の女性層を中心に、好評を博しています。
石田氏がお店づくりで心がけていることが、いくつかあります。店内や外観などのインテリアに関しては、①カフェのようにオシャレで居心地の良い空間づくり、②どのような状況になっても撮れるように、すべての場所に気を配る、③店頭に写真集サンプルやパンフレットを置く、④お店の入口は常に開放し、入りやすい雰囲気にする、などといった点にこだわります。
雑貨ショップ「R」を立ち上げたことで、写真の楽しさをより強力に訴え、さらに記念撮影へとつなげている石田氏。「雑貨を扱い始めたからといって、急に売上が伸びるわけではありません。それでも、これからやってみたいこと、チャレンジしたいことは、いろいろとあります」。具体的には、「商品展開を広げ、より入りやすく、ismにつながりやすい店舗にしたい。また逆に、ismのお客さまがRを楽しみに来てくれるような店舗を目指したいと考えています」。そのほかにも、作家によるワークショップの開催やギャラリーとしてのレンタルスペース、他店とのコラボイベント等、さまざまな構想が浮かび上がっているようです。
これからの写真館、さらには雑貨を取り扱っている(あるいは検討している)写真店にとって、写真雑貨の可能性とその魅力を、ismとRの事例をもとに、セミナーで徹底追及していきます。

